【ストーリー】曲がった指と共に歩んだその先に

このお話は、あるお客様の体験談を元に、少し脚色を加えながらまとめたストーリーです。エピテーゼとの出会いを通じて変わっていく姿を描いています。同じように悩みを抱える方が、ほんの少しでも前向きな気持ちになれるようなきっかけになれば、と願っています。



朝、目覚めるたびに右手を広げてみるのが、ここ数年の習慣になっています。
強ばった手。曲がった人差し指。
思うように動かせないたびに、小さなため息が漏れました。

人差し指が赤く腫れ始めたのは、十数年前のこと。

夜中に痛みで目が覚める日も増えてきて、どうにもならず整形外科を訪ねました。

けれど、医師の言葉は冷たく響きました。


「老化だから仕方ないですね」

老化だから仕方がない・・・・
そう割り切るべきなのかもしれないと、自分に言い聞かせようとしました。

けれど、心の奥底にあった「諦めたくない」という小さな気持ちは、どうしても消えませんでした。

その後も病院を何度も回り、いろんな検査を受けましたが、原因はわからないまま。
やっとの思いでたどり着いた病院で、「指の第一関節の骨がなくなっている」と告げられたときは、ただ呆然としました。

骨が消えるなんて、そんなことが本当にあるのだろうか、と。

どうにかならないものかと、医師に人工関節や義指聞いてみましたが、手術が必要だったり、うまく使えるかどうかの保証もなく、おすすめはしませんとのことでした。

気がつけば、指は短くなり、曲がったまま。
それでも痛みが和らいだことで、どこかで「もうこれで仕方ない」と思おうとしていた自分がいました。

でも、趣味で始めたフラダンスだけは、どうしても楽しめませんでした。


大好きな曲のリズムに乗って踊るたび、鏡に映る自分の手が気になってしまうのです。
曲がった指を人前に見せるのが恥ずかしくて、動きがぎこちなくなり、集中できませんでした。

「もっと自由に踊りたい」という気持ちがあるのに、それを邪魔しているのが自分の手だと思うと、どうしようもなく辛かったのです。

そんなある日、テレビで偶然目にした「エピテーゼ」という言葉に心を奪われました。

エピテーゼ…その言葉の響きが、まるで閉じた窓をそっと開けてくれるように感じられました。

気持ちが抑えきれず、翌月には新幹線に乗りサロンへ向かいました。


車窓から流れる景色をぼんやり眺めながら、胸の奥が不思議なほど温かくなっていくのを感じていました。


「この指が戻ったら、どんなふうに踊れるだろう」


そんなことを考えるだけで、自然と笑みがこぼれました。

サロンで初めてエピテーゼを指にはめた瞬間、自分の手が戻ってきたように思えて、涙が出そうになりました。


鏡の中の私の手は、曲がった指を自然に隠してくれていて、その美しさに胸がいっぱいになりました。


「これならきっと大丈夫」
その時、そう思えたのです。

今、「みやび」さんにお願いして、もうすぐ完成する予定です。


新しい指をつけて、初めてフラダンスの舞台に立てる日が待ち遠しくて仕方ありません。


これまでずっと気になっていた指を気にすることなく、のびのびと踊れるのだと思うと、胸の中にぽっと灯りがともるようです。

手の先まで自由に伸ばせる時、私はもっと心から踊りを楽しめる気がします。


人前で手を広げることが、あんなに楽しみになる日が来るなんて、思いもしませんでした。
次の発表会で、手の先までしなやかに振る舞う自分を思い描くたび、気持ちが少しずつ弾んでいきます。

長野県 60代 主婦・漆工芸師


このお話は、あるお客様の体験談を元に、少し脚色を加えながらまとめたストーリーです。
エピテーゼとの出会いを通じて変わっていく姿を描いています。
同じように悩みを抱える方が、ほんの少しでも前向きな気持ちになれるようなきっかけになれば、と願っています

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