2月の寒い朝、愛犬のリードが絡まってしまい、解こうと奮闘していた私。しかし、興奮して暴れだした大型犬に噛まれ、私は左薬指の第一関節から先を失ってしまいました。
その瞬間、「手を離したら、他の人を傷つけてしまうかもしれない」と必死でした。持病のリウマチの影響で、第二関節から指が曲がらなかったため、とっさに丸めることができず、噛まれてしまったのだと思います。
病院での手術と通院を経て傷は癒えましたが、次に私の心を悩ませたのは「この指をどう隠せばいいのだろう」ということでした。手袋をして過ごす時期もありましたが、今では指先用のネットカバーに落ち着いています。整形外科の先生から「指を作ってもらえる」という話を聞いたこともありましたが、結局そのまま時が過ぎていきました。
そんなある日、たまたま目にしたテレビ番組が私の運命を変えました。普段あまりテレビを見ない私が、画面にくぎ付けになったのです。松岡修造さんが紹介していたのは、「エピテーゼ」という技術と、それを提供する田村さんの仕事でした。技術の素晴らしさ、そして田村さんの優しさあふれる姿に心を打たれました。
「あれ?どこかで見たことがあるような気がする…」
そう思い出したのは、以前、地元の文化祭で田村さんの作品を見かけた時のことでした。その頃は「自分には無関係なもの」と思いつつも、技術のすごさが心に残っていたのだと思います。
そして今、東京で活躍されていることを知り、驚きとともに「あの技術で私の指も…」と希望が湧いてきました。とはいえ、決心するまでは時間がかかりました。予約を入れるのにも勇気が必要で、なかなか行動に移せませんでした。そんな私の背中を押してくれたのは主人でした。
そして今、指が元に戻るという想像が、私の心を明るくしてくれています。田村さんとのご縁に巡り会えたことに、本当に感謝しています。
一番にこの指を誰に見せようか…驚く顔を見るのが楽しみです。ありがとうございました。
群馬県 H.Tさま 60代女性 主婦 左手薬指のお悩み